『ここあーる』のキャラクターの話
ホームページやパンフレットに載せている二つのキャラクター「ここちゃん」「あーるくん」
この二つのキャラクターは私、飛野が一人の女の子からもらった手紙に描かれていたものです。
初めに断っておくとこれからお伝えする事は異性云々という事ではありません。
このキャラクターは誰が描いたんですか?と聞かれて説明した時に相手が答える反応は真っ二つ。
その人の人となりが現れてとても面白いです。
これを読んで下さったあなたはどちらでしょうか?
答えから言うと「著作権侵害で訴えられますよ」もう一つが「素敵な話ですね」
このキャラクターはある社会福祉法人で働いていた時にお手紙としてもらいました。
正確に言うと、その職場を退職した後にです。
私は今の法律には無い「知的障害者通勤寮」という施設で働いていました。
そして、その女の子は実習目的で数か月寮で生活していました。
実習での住み込みなので実際に住んでいる所があります。それは児童養護施設です。
その女の子は親はいるのに虐待によりその施設に入所していました。
実習に来ていたのはもうすぐ18歳になるのでその施設から出なければならないためで、その後の受け入れ先探しの一環という訳です。
私は担当職員としてその女の子の生活指導や相談をする事になりました。
いつも明るく笑顔を絶やさず、それが時に無理をしてるんじゃ。と思える程でした。
今考えるとそうしている事が彼女の処世術だったり、そうする事で自分を支えていたのかな。と思えます。
実際、夜勤中に敢えて目の前でリストカットをして見せたりといった時もありました。
いやいや、あからさま過ぎです。
でも、やっている事は幼稚でもその子の抱えている闇は相当でした。
時には「何やってんだ!」と、職員としてはしてはいけない苛立ちをもって𠮟りつけたりしました。
でも、結局は指導するべき立場の私の方が仕事に疲れてしまって退職する事になりました。
自分にはここよりも向いている仕事がある!何て思っていましたが、何てことないただの逃げでした。
退職後、その子から定期的に手紙が届きました。
かわいい天使のイラストと自分に言い聞かせる様にかいた「ことば」
『今は辛い事があっても生きていればきっと良いことがある!』
その時々でことばは違っていても、一貫してそういったメッセージが込められていました。
でも、私はやっぱり卑怯者。そこでも逃げました。退職した職場にお手紙を返せなかったのです。
退職した者が入所中の利用者にお手紙を出す事はご法度です。
ダメもとでも返事を書いてあげたら良かったのですが、できませんでした。
その内
・・・
「どうして、返事をくれないんですか?」
・・・
「もう手紙を書きません!」
といった経緯を経て手紙は来なくなりました。
もう、一切今の私とは関係の無い手紙であり、思い出の物を保管する私では無いのですが、この手紙だけは捨てられずにいました。
そして20年程たって、自分が児童デイを立ち上げる事になった時。
ふと、あの手紙のイラストをこのデイのキャラクターにしたいな。と思いました。
あの女の子が抱えていたような闇を持たない様に、子供たちにとって安心を与えられる様な場所ができたら。
もし、冒頭の著作権侵害で訴えられる事があっても、その人が現れて名乗り出る事があったら、
元気でやっているだろうかという事を確認したいのと、情けなくもあの時に自分がとった行動を謝りたい。
何て気持ちがあります。
本当に自己満足でしかないのですが…
自分で選んでおきながら、このキャラクターを掲げている限り中途半端な仕事は出来ないなと思います。